緑豊かな土地の豊かな資源

北海道は日本一森林面積が広く554万haもあり、他県では類がないほど緑に恵まれた土地です。森林には、天然の力で生育した天然林と、ヒトによる植栽などの作業を施す人工林(育成林)の2種類があります。北海道の森林の約3割が人工林で、そのうち過半数を占めるのがトドマツです。太古の昔から北海道に自生しているトドマツは、道内で最も蓄積量が多く、枯渇の心配のない木だと言えます。

人工林材が使われなかった理由

人工林は戦後の復興時に将来の利用目的のために植えられた針葉樹林です。本州では杉、ヒノキ、北海道ではカラマツ、トドマツなどの人工林があります。現在の人工林は戦後の復興時に将来の活用に備えて積極的に植林を行った結果です。植林後に輸入材が手軽に手に入るようになり森の管理から人が離れた結果、取り残された人工林は価値を失い森に残ってしまいました。その人工林に一斉に伐期が来ています。また、広葉樹と違い、材が軟らかいので使用用途が付加価値の低いチップや梱包材、建築構造材などに限られていました。

カーボンオフセットで地球温暖化対策にも

地球温暖化やカーボンオフセットという言葉をよく耳にしますが、森の働きの一つに温室効果ガスであるCO2の固定化があります。天然林も人工林もCO2を吸収しますが、成熟した天然林は枯木や落葉などが分解されCO2が放出されるため吸収量と放出量がつりあっておりCO2を減らすことができません。そのため間伐と植樹を繰り返す人工林にCO2吸収の期待が高く、とりわけ、若い人工林の方が成長が旺盛で吸収量が多いことが知られています。積極的に材を使って、植える、使う、売るのサイクルを促進することが山を健康に保ちます。

トドマツデータベース

和名

英名

分類

分布

生態

 

木材の性質

 

気乾比重

平均収縮率

曲げヤング係数

 

出典

椴松(トドマツ)

Todo fir

松科モミ属

北海道、南千島、サハリン

海岸近くから高標高まで分布し多くは広葉樹やエゾマツなどと混交林をつくる。

高さ30m太さ60㎝ほどになる。枝は6,7本が輪生状にほぼ水平かやや斜め上に出る。

年輪が比較的ハッキリしている。一様に白色あるいはごく淡い黄白色である。

木理が通直で比較的軽軟なので加工性がよく人工乾燥も容易である。

0.4

0.35%(接線方向)0.14%(放射方向)

80tf/cm2(7.8GPa)

 

地方独立行政法人北海道立総合研究機構 森林研究本部 林産試験場 道産木材データベースより一部抜粋